がんと免疫のお話し
Cancer and Immunity

免疫チェックポイント阻害剤の開発の歴史

 免疫チェックポイント阻害剤は免疫療法の一種ですが、研究開発は1960年代までさかのぼります。それは人間の免疫を活性化させるシステム開発の歴史であり、この概念は現在も変わることはありません。
 免疫療法は第一世代として登場したピシバニールやレンチナンといった細菌・キノコ由来の免疫賦活剤にはじまり、第二世代のサイトカイン療法、第三世代の活性化リンパ球療法、第四世代の樹状細胞局所療法と研究開発が続き、臨床の場でも用いられてきました。第四世代以降、がん細胞に免疫に偽のシグナルを送ってブレーキをかける、いわば免疫機能を「編集」する機能があることが明らかとなり、それを解除することが重要だとわかりました。この流れで開発されたのが、免疫チェックポイント阻害剤です。
■ 樹状細胞局所療法と免疫チェックポイント阻害剤の併用療法
 通常は体内で発生したがん細胞は異物として免疫細胞によって排除されます。しかし、免疫システムを逃れたがん細胞はどんどん成長し、がんとして体に悪影響を及ぼします。これを再び免疫細胞に攻撃させるためには、免疫細胞にがんの特徴を伝え、免疫システムから逃れているがんを免疫システムに認識させなければいけません。
 その目的を果たすための治療の一つが樹状細胞局所療法です。樹状細胞局所療法は免疫療法の第四世代にあたります。免疫チェックポイント阻害剤のみならず、低用量抗がん剤や放射線治療などを樹状細胞局所療法と併用することで、さらに効果を期待できると考えられます。

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